過電流継電器の設定をタップやレバーと呼ぶのはなぜか?

過電流継電器(OCR)の設定では、「タップ」と「レバー」という言葉が使われることがあります。タップは動作電流を指し、レバーは動作時間の設定値を指しますがなぜこのような呼び方をするのでしょうか?

その理由は過電流継電器の構造に由来します。

目次

過電流継電器の2つのタイプがある

そもそも過電流継電器には大きく分けて「誘導型」と「静止型」の2種類があります。

誘導型継電器

誘導型継電器は円盤を誘導起電力で回転させる仕組みを持ち、過去に一般的だったタイプの過電流継電器です。電流が設定値を超えると円盤が回転し、接点が閉じて遮断機が作動します。現在は新規に使用されることはほとんどなく、古い設備に限って使われていることが多いです。

図1 誘導型過電流継電器

静止型継電器

静止型継電器は現在の主流で、デジタル継電器とも呼ばれます。CPUと半導体素子を用いた電子制御により、動作が精密かつ迅速です。より高精度で信頼性の高い性能を発揮します。

図2 静止型過電流継電器

タップとレバーの由来は?

継電器の設定値について「タップ」や「レバー」といった用語が使われるのは、主に古いタイプの誘導型継電器の構造に由来します。

図3のように誘導型継電器ではタップねじとレバーを調整することで、動作電流や動作時間を変更していました。そのためこれらの設定値を「タップ」や「レバー」と呼ぶようになったのです。

図3 タップとレバー

タップ(動作電流)

誘導型継電器ではタップねじを調整することで動作電流を設定していました。このことから「タップ」という呼び方が生まれ、現在でも動作電流の設定を指す際に使われています。

レバー

同様にレバーを調整し、円盤の移動距離(回転距離)を変えることで動作時間を設定していました。このことから動作時間をレバーと呼ぶようになりました。

現在主流の静止型継電器には、このような物理的なタップやレバーは存在しません。そのため、これからはこれらの用語が使われる機会も減少していくと考えられます。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次