電線とケーブルはどちらも電気を流すための線ですが、日常の会話ではこの2つの違いを意識することは少なく、知らなくても困ることはほとんどありません。
しかし、電気に関する法令では「電線」と「ケーブル」がそれぞれ異なる意味を持っています。電気関係の仕事をする上で、この違いを正確に理解しておかないと、誤解を招き、業務に支障をきたす可能性があります。
そこでこのページでは、電技(電気設備に関する技術基準を定める省令)からみた、電線とケーブルの違いを詳しく解説します。
よく見られる電線とケーブルの違いの説明
一般的にネット上などでよく見られる電線とケーブルの違いは次のように説明されています。
電線は導体を絶縁被覆で覆ったもの。
つまり図1のような構造です。
一方でケーブルは以下のように説明されています。
ケーブルは導体を絶縁被覆で覆い、さらにその上を保護被覆で覆ったもの。
つまり図2のような構造です。
電線とケーブルの違いを大まかに理解するには、この説明で十分です。しかし実務においては法令に基づいた正確な理解が求められます。次に、その詳細を解説していきます。
ケーブルも電線の一種である
電技では「電線」は次のように定義されています。
電技第1条第7項
「電線」とは、強電流の伝送に使用する導体、絶縁物で被覆した導体、または絶縁物で被覆しさらに保護被覆で覆った導体を指す。
この定義の後半、「絶縁物で被覆し、さらに保護被覆で覆った導体」が「ケーブル」に該当します。それでは、前半の「絶縁物で被覆した導体」は何を指すのでしょうか?
先ほどの一般的な説明ではこれを「電線」としていましたが、電技ではこれを「絶縁電線」と呼びます。
電線は「絶縁電線」と「ケーブル」の総称
つまり、「電線」という言葉は「絶縁電線」と「ケーブル」の2つを含む総称です。図解すると図3になります。
さらに「ケーブル」には、低圧ケーブルや高圧ケーブルなど、さらに細かい分類が存在します。これらの詳細についてはこのページでは割愛しますが、電気技術者として業務を行う際には、電技の内容を常に確認し、正確な理解を持つことが求められます。
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