絶縁抵抗測定とは?メガ測定の目的と方法をわかりやすく解説

絶縁抵抗測定、通称「メガ測定」とは、絶縁抵抗計(メガ)を用いて機器の絶縁状態を確認する作業のことを指します。

電気関係の仕事に携わる場合、作業前後や定期点検、トラブル対応時など頻繁にメガ測定を行う機会があります。メガ測定は電気技術者にとって最も基本的かつ重要な作業の一つです。

この記事ではメガ測定の目的や理由、そして正しい使い方についてわかりやすく解説します。

目次

メガ測定の目的

メガ測定を行う主な目的は、機器の絶縁抵抗が正常かどうかを確認することです。

絶縁抵抗が低下すると、漏電や短絡といった電気事故の原因となり、最悪の場合は感電事故にも繋がります。したがって、絶縁抵抗を適切に管理することは機器の安全な運用にとって欠かせない作業です。

絶縁抵抗とは?

絶縁抵抗とは、電流が流れて良い部分と流れてはいけない部分の間に存在する抵抗値のことです。

電動機を例に具体的に説明します。図1は電動機のリード線と内部の巻線を簡略的に表した図です。リード線は三相の電源につながっています。

図1_電動機の概略図

電動機ではリード線と内部の巻線に電流が流れるべきであり、筐体(フレーム)には電流が流れてはいけません。

つまり電動機においてはリード線や巻線と筐体の間の抵抗値が絶縁抵抗にあたります。

通常はリード線、巻線と筐体の間には絶縁物があり、この絶縁物の抵抗が絶縁抵抗にあたります。これを電気的な回路で表すと図2になります。

図2_電動機と筐体の電気的なつながり

絶縁されているとは?

正常な機器ではこの絶縁抵抗は高く保たれています。この状態を「絶縁されている」や「絶縁が良い」と呼んだりします。

電動機の例でいえば巻線と筐体の間の絶縁物の抵抗値が十分高い状態であることを「巻線と筐体間は絶縁されている」といいます。

絶縁抵抗が低下すると?

ですが絶縁抵抗が低下すると、本来電流が流れてはいけない箇所に電流が流れやすくなります。電動機の例では図3のように、絶縁物と筐体を通してアースへ電流が流れてしまいます。

図3_電動機の漏電

本来は電流が流れるべきではない場所を通してアースへ電流が流れることを漏電といいます。

他にも絶縁抵抗が低いと短絡などといった大事故を引き起こすリスクが高まります。そのため絶縁抵抗を定期的に測定してその値を管理することは、安全を確保するために非常に重要です。

絶縁抵抗測定の方法

では続いて絶縁抵抗測定でなぜ絶縁抵抗が分かるのか?について、絶縁抵抗測定の方法を説明しながら解説をします。

絶縁抵抗計(メガ)の接続方法

絶縁抵抗測定は絶縁抵抗計を使って行います。電動機の絶縁抵抗測定を行う場合、絶縁抵抗計は図4のようにLINE端子をリード線に、EARTH(アース)端子を電動機のアースボルトに接続します。

図4_絶縁抵抗計の接続方法

要はLINE側を本来電流が流れる箇所へ、EARTH側を筐体など電流が流れてはいけない箇所へ接続するということです。

絶縁抵抗計でなぜ絶縁抵抗値が分かるのか?

では絶縁抵抗計を使ってどうやって絶縁抵抗が測れるのかを理解しましょう。

これは電気回路でイメージするとわかりやすいです。図5は電動機へ絶縁抵抗計を接続した状態を簡略的な回路に表したものです。

図5_絶縁抵抗計で抵抗が測れる仕組み

この回路のように、絶縁抵抗測定ではリード線とアースボルト(電動機筐体)の間に電圧をかけて、どれくらいの電流が流れるかを測定しています。

流れる電流がわかればオームの法則によって抵抗値が求められます。これが絶縁抵抗計で絶縁抵抗値が測れる理由です。

機器が正常であれば絶縁物の抵抗値が非常に高いため電流は(ほぼ)流れません。つまり絶縁抵抗値が高い状態ということです。

しかし絶縁物の劣化などによって抵抗値が下がると図6のように筐体を通じて電流も多く流れます。これが絶縁が悪い状態です。

図6_電動機が絶縁劣化した際の電流の流れ

絶縁抵抗の最低値

最後に絶縁抵抗はどれくらいあれば良いのか?という話です。

絶縁抵抗は高いほど良いのですが、年数が経過するとともに低下していく傾向があります。

具体的にどれくらいの絶縁抵抗があれば良いのかは、電気設備技術基準によって定められています。低圧電路においては以下の通りです。

電路の使用電圧の区分絶縁抵抗値
300V以下対地電圧(接地式電路においては電線と大地との間の電圧、
非接地式電路においては電線間の電圧をいう。以下同じ。)が150V以下の場合
0.1MΩ
その他の場合0.2MΩ
300Vを超えるもの0.4MΩ
電気設備技術基準 第58条 低圧の電路の絶縁性能

300V以下では対地電圧により最低値が異なる点に注意が必要です。

対地電圧が150V以下というのは例えばコンセントの100Vや単相3線式の200Vなどがあります。一方で対地電圧が150Vを超えるものは三相の200Vなどです。

またこれらの値はあくまで最低限の基準です。実際の現場においては、この基準はかなり絶縁抵抗が低下していると判断し、機器の更新や補修を検討します。

まとめ

絶縁抵抗測定(メガ測定)は、電気機器や設備の安全性を確保するために欠かせない作業です。絶縁抵抗が低下すると、漏電や感電といった重大な事故のリスクが高まります。定期的なメガ測定を通じて、機器の絶縁状態を適切に管理し、安全な運用を続けましょう。

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