検電とは、電路や導体部が充電しているかどうかを確認する作業です。
電気関係の仕事に就いていれば、普段から当たり前に行う検電ですが、今回はその目的や注意点についてまとめました。
検電の目的
検電の最も重要な目的は、作業前にその箇所に触れても感電しないことを確認することです。例えばブレーカーの2次側に接続されている電磁接触器(マグネットコンタクタ)の交換作業を行う場合を考えます。
作業前にはブレーカーをOFFにして、電磁接触器を無電圧にしますが、実際に無電圧になったかどうかを確認することが検電の目的です。
ブレーカーをOFFにしたつもりでも、内部の機構が壊れていたり、誤って別のブレーカーをOFFにしてしまい、無電圧にできていないことがあります。
このような場合に、万が一の感電事故を防ぐために行うのが検電です。
検電の方法
検電の方法は簡単です。図3のように検電器を検電したい部分に近づけるか、直接触れさせるだけです。
そこがまだ充電していれば検電器のランプが点灯し、音が鳴ります(検電器の種類によって異なります)。
なお、近づけるだけで検電できるものを非接触式検電器、触れさせて検電するものを接触式検電器といいます。
検電をする際の注意点
検電自体は簡単ですが、いくつか注意すべき点があります。
2重検電を行う
まず、検電を行う際には2重検電を行いましょう。2重検電とは、同じ箇所を2台の検電器で検電することです。通常、1人1台の検電器を持っているため、2人で検電するとよいでしょう。
実務では、自分が設備の管理者であれば、作業担当者と一緒に検電を行うことが一般的です。
検電器の対応電圧を確認する
次に、検電器の対応電圧を確認することが重要です。
交流か直流か?
検電器には非接触式と接触式の2種類がありますが、非接触式は交流電圧しか検知できません。直流回路を検電する際には、接触式で直流対応の検電器を使うか、テスターを使用しましょう。テスターはほとんどの機種で交流と直流の両方の電圧を測定できます。
「接触式の検電器の方が交流も直流も検電できるから良いのでは?」と思うかもしれませんが、非接触式の検電器には電線の被覆の上からでも検電できるというメリットがあります。また、導体に触れなくて良いので安全です。
個人的には、普段は非接触式検電器を使い、直流回路はテスターで検電するのがさまざまなケースに対応できて良いと思います。
検知できる電圧範囲を確認する
さらに、検電器が何Vから検知できるかを確認する必要があります。私が使用している検電器は↓のもので、40V~600Vの電圧を検知できますが、40V未満の低い電圧の回路では無電圧を確認できません。
その場合、テスターを使用する必要があります。検電器がすべての電圧を検知できるわけではないことに注意しましょう。
検電器の感度を調整する
3つ目は、検電器の感度を調整することです。検電器には、電圧を検知する感度を調整できるものがあります。感度を下げすぎると、充電中であっても検電器が反応しないことがあります。逆に、感度を上げすぎると、検電したい箇所が無電圧であっても、近くにある他の回路の電圧を検知してしまい、正確な検電ができません。
よって適切に感度を調整することが必要です。
低圧・高圧対応の検電器を使用する
ここまでは主に低圧回路の検電について述べましたが、実際には高圧回路の検電を行うこともあります。検電器には低圧用と高圧用があるため、その仕様を確認して適切なものを使用しましょう。
非常に危険ですので、間違っても低圧用の検電器で高圧回路を検電しないように注意しましょう。
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