高圧のCVケーブルには銅テープ状のシールドがあります。(遮蔽層とも呼ぶ)
シールドは通常片側を接地します。シールドにリード線はんだ等で付けて、それをアースに接続すればOKです。
しかしZCT(零相変流器)を使用する場合は、図1のようにリード線をZCTに通してから接地する必要があります。
この理由を解説します。
ZCTは電流の不平衡を検知する
ZCTは地絡を検出する機器です。細かい仕組みは省きますが、簡単に検出の仕組みを解説します。
図2のように導線をZCTへ通しているときを考えます。
通常は行き帰りを含めた導体を流れる電流の和は0になります。
しかし×の位置で地絡すると図3のように地絡電流Igが流れ、Igの分だけ不平衡が生じます。つまり和が0になりません。
この不平衡を検出することで地絡検出を行っています。
シールドへ流れる地絡電流によって不平衡が生じないケース
このように電流の不平衡が生じることで地絡検出が可能なのですが、シールドがあることで地絡しても不平衡が起きなくなります。
これを図4で解説します。図4は3.3kV3芯のCVケーブルを使った配線図です。この図の×の位置で地絡が起きたとします。
すると地絡電流Igはシールドを流れZCTを通して大地に流れます。導体を流れる地絡電流とシールドを流れる地絡電流で打ち消しあってしまうのです。
そのため実際は地絡をしているのに、電流の行き帰りの和が0になってしまい、ZCTは地絡を検出できません。
シールドのリード線をZCTに通すことで不平衡を検知できる
ZCTで地絡検出を正しく行うには、図5のようにシールドのリード線をZCTに通してからアースに接続する必要があります。
なぜこれで地絡検出が正しく行えるかを解説します。図4で×の位置で地絡が起きると、シールドとリード線を通して地絡電流が流れます。
シールドとリード線に着目すると、地絡電流IgがZCTを往復することが分かります。
つまりシールドとリード線に流れるIgは打ち消されますが、導線を流れるIgは打ち消されません。
そのためトータルではIgの分だけ不平衡が生じ、地絡を正しく検知できます。
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