3.3kVCVケーブルは耐圧試験を2回行う理由を解説

3.3kVのCVケーブルの耐圧試験(絶縁耐力試験)は2回行う必要があります。しかし6.6kVは1回で済みます。

この理由は銅シールド(銅遮蔽層)の位置の違いによるものです。

3.3KVCVの場合は一括のシールドになっているのに対し、6.6kVCVでは芯線ごとにシールドがあります。そのため耐圧試験の回数に違いが出ます。

この理由を以下で詳しく図解します。

目次

3.3kVCVケーブルと6.6kVCVケーブルの構造の違い

まず3.3kVと6.6kVCVケーブルの構造の違いを確認しましょう。違いはシールドの位置です。ここでは3芯のケーブルを例に、構造の違いを説明します。

3.3kVCVケーブルの構造

3.3kVCVケーブルは図1のような構造です。

ここではシールドの位置に着目してください。図のように3本の銅線に対し、一括でシールドがあります。

図1 3.3kVCVケーブルの構造

6.6kVCVケーブルの構造

一方6.6kVCVケーブルは図2のような構造です。3本の銅線に対しそれぞれ個別にシールドがあります。

図2 6.6kVCVケーブルの構造

この違いによって耐圧試験の回数が変わります。これを次から説明していきます。

3.3kVCVケーブルの耐圧試験の接続方法

3.3kVCVケーブルの耐圧試験を行う場合、試験装置とケーブルの接続は図3、図4のようになります。

1回目はR相とS相を短絡して試験装置の電圧出力側と接続、T相とシールドを短絡してアースへ接続します。(図3)

図3 3.3kVCVケーブルの耐圧試験接続(1回目)

2回目はS相とT相を短絡して試験装置の電圧出力側と接続、R相とシールドを短絡してアースへ接続します。(図4)

図4 3.3kVCVケーブルの耐圧試験接続(2回目)

1回目だけだとR相とS相の相間の耐圧が確認できません。そのため接続を変えて2回試験を行う必要があります。

6.6kVCVケーブルの耐圧試験の接続方法

一方で6.6kVCVケーブルの耐圧試験では、試験装置とケーブルは図5のように接続します。

図5 6.6kVCVケーブルの耐圧試験接続

6.6kVCVケーブルは各相に個別にシールドがあるので、この1回で対地間と相間の耐圧が分かります。

接続の違いを簡単な回路にして解説

接続の違いから耐圧試験の回数を解説しましたが、少し分かりにくかったかもしれません。

そこで簡単な回路にして、どこの間の耐圧試験をしているか分かりやすく解説します。

3.3kVCVケーブルの場合

3.3kVCVケーブルの1回目の試験回路は図6のようになります。

図6 3.3kVCVケーブルの耐圧試験(1回目)の等価回路

図から分かる通りRS相とシールドとT相の間に電圧が印加されています。耐圧試験はここを流れる電流(漏れ電流)を測定することで行っています。

しかしこれだけではR相とS相間の漏れ電流が測定できません。そのため接続を変えて2回試験を行う必要があります。

6.6kVCVケーブルの場合

続いて6.6kVCVケーブルの試験回路が図7です。

図7 6.6kVCVケーブルの耐圧試験の等価回路

回路から分かるように全ての相間、対地間に電圧が印加されています。そのため6.6kVの場合は試験が1回で済みます。

このような理由で耐圧試験の回数に差が出ます。

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